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長嶺安政駐オランダ日本国大使の着任挨拶


 
2012年11月14日

皆さん初めまして。10月29日にオランダに着任しました駐オランダ日本国大使の長嶺安政です。これまで、外交官として赴任した国は、米国(ワシントンD.C.及びサンフランシスコ)、英国、インドであり、オランダ勤務は初めてですが、駐オランダ大使としての仕事と当地での生活を心から楽しみにしております。
オランダは、欧州連合の創始国の一つであると同時に、欧州の将来にとり欠くことのできない重要性を有する国です。わが国との関係でも欧州随一のユニークかつ長い交流の歴史を有する国であって、今日に至るまで極めて緊密な友好関係が築かれております。このようなオランダにおいて日本国大使としての活動を開始するに当たり、ここに私の主要目標を掲げます。

 第一に、良好なオランダとの関係を更に一歩でも前に進めるため、多方面にわたり一層緊密な対話の充実を図りたいと思います。外交・安全保障、経済・社会分野、環境を含む地球規模問題への取組などにおいて政府間のみならず有識者を含む広い範囲の方々の参加を得て対話を進めます。このような対話の中から具体的な二国間の協力によるアクションプログラムを充実させていきたいと思います。日本とオランダは共に成熟した民主主義国家として価値を共有するのみならず、経済の活性化や高齢化社会への対応など共通の課題に直面しています。日蘭が知恵を結集することにより、共に21世紀を切り拓いていくことができると信じています。

 第二に、オランダにおられる日本人や経済活動に日々取り組まれている日系企業の方々のために大使館として最大限の支援を致します。オランダ在留の皆様との連絡を更に強めます。また、企業の皆様のところへはこちらから訪ねて参ります。現在、日本とEUとの間の経済連携の枠組み作りへの政府間の協議が進んでおります。このような取組が日本とオランダとの経済関係の進展を通じ、日本ビジネスのための環境向上になるよう皆様と連携して参ります。

 第三に、二国間の関係拡大に欠かせない日蘭間の相互理解の促進に努めます。この関係で、ここに改めて昨年3月の東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の後、オランダの皆様から頂いた物心両面の暖かい支援に感謝申し上げます。この震災や原発事故からの復旧、復興の現況をオランダの皆様にご理解頂けるよう努めて参ります。更に、日本が国際関係、経済社会問題の解決に果たしている役割を一人でも多くのオランダの方々に理解し、支持して頂けるよう、パブリックディプロマシーを強力に進めて参ります。また、文化交流及び人的交流を更に充実させて参ります。特に、地方連携を通じた相互交流、相互理解を推進します。

 第四に、国際協力、特に「法の支配」を強化するための国際協力の拠点としての当地のユニークな役割に呼応して活動を行って参ります。これまで外務省国際法局長として培った経験も生かしながら、国際司法裁判所、国際刑事裁判所を始めとする国際裁判機関との関係や化学兵器禁止機関などとの関係の強化を進めていきます。

 第五に、これらの活動全体を通じて、日本と欧州全域乃至EU圏との関係促進という目標を忘れないようにしたいと考えます。新興国の台頭著しい21世紀の国際関係ですが、なお日本が欧州と共通の価値認識に基づいて共に国際関係運営上のリーダーシップを取っていかなくてはならないことは自明です。そのような中に日本とオランダとの友好関係を位置づけながら当地での活動を進めて参ります。

 以上のような活動の柱を立てて、これから日本国大使としての活動を行って参りたいと存じます。これから皆様方一人一人とお会いしてお話を伺って参りたいと思います。在オランダ日本国大使館として、色々な形で皆様と協力して進めていきたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

 

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