東日本大震災で犠牲となったテイラー・アンダーソンさんは,JETプログラムに参加し,2008年度から米国人外国人指導助手として石巻市立万石浦中学校をはじめとする石巻市内7つの小中学校で英語を教え,生徒たちに慕われていた。震災当日は,万石浦小で指導しており,生徒が保護者に引き取られるのを見届けてから自宅へ向かい,津波に巻き込まれたとみられている。
2011年9月6日には,テイラーさんが勤務していた石巻市のこれら学校に,遺族と東京アメリカンクラブから「テイラー文庫」が寄贈され,万石浦小学校で贈呈式が行われた。「テイラー文庫」は,子どもたちと本が大好きだったテイラーさんを偲んで,東松島市在住の木工作家の遠藤伸一さんが制作した本棚に,テイラーさんが好きだった書籍,テイラー文庫を説明するDVDなどが閲覧できるコンピューターを付随させたもの。贈呈式には,遺族,万石浦小学校の生徒などが出席した。本棚を制作した遠藤氏は震災で子ども3人を失い,うち2人はテイラーさんから英語を習っていた。贈呈式に先立ち,石巻市主催のレセプションが開催され,亀山紘一市長は「この文庫が日米の架け橋になることを期待する」と延べ,テイラーさんの父母であるアンディ・アンダーソン夫妻に感謝状を贈った。
テイラーさんの教え子だった万石浦中学校の亀山映果さんは,「テイラー先生に学んだことは, 本当にたくさんあります。テイラー先生の授業で感じた, 英語の魅力, 楽しさ, もっと学びたいという気持ちは, 忘れません。私には, 英語の先生になるという夢があります。その夢を実現させるために, もっと努力を積み重ね, いつかきっと, テイラー先生のようなすばらしい先生になってみせます。」と,テイラーさんへの想いを語っている。
日本の子どもたちをこよなく愛し, 日米間の心と心を結んだテイラーさんの遺志は, テイラーさんの教え子に引き継がれ, 今も生き続けている。
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