堀之内大使2021年新年挨拶

令和3年1月1日
皆様、新年明けましておめでとうございます。
 
オランダに着任し、2度目のお正月を迎えることができました。皆様への新年のご挨拶の機会に際し、昨年を振り返るとともに、今年の私の抱負を述べたいと思います。
 
私たちの生活は、今なお世界中で猛威を奮う、新型コロナウイルスの大流行により一変しました。まずは、新型コロナウイルスにより犠牲になられた全ての方々へ哀悼の意を表するとともに、最前線で対応にあたっておられる医療関係者の皆様へ敬意を表したいと思います。オランダは、これまで経験したことのない感染拡大に見舞われ、3月には「インテリジェント・ロックダウン」、10月には「部分的ロックダウン」と呼ばれる措置を講じ、さらに、12月には、これまでで最も厳しい「ロックダウン」措置がとられ、年を越えてもなお、新型コロナウイルスと闘っております。この間、多くの方々が、日常生活や仕事の面で様々な影響を受け、ご苦労をなさっていることと存じます。皆様が制約のない生活を送られる日が1日でも早く来るよう心から願っております。

政治に目を向けますと、政界は、本年3月17日に投票予定の選挙に向けて動いており、各党が党首の選出やマニフェストの策定等の準備を進めています。選挙後の情勢が注目されます。
二国間関係では、昨年12月、菅総理大臣は、ルッテ首相との間で電話会談を行い、両国は、自由、民主主義、人権、法の支配等の基本的価値を共有する戦略パートナーであり、「自由で開かれたインド太平洋」の実現について連携し、経済分野を含む幅広い分野で二国間の協力を強化していくことを確認するとともに、国際場裡においても協力していくことで一致しました。また、同年5月には、茂木外務大臣がブロック外務大臣との間で電話会談を行い、意見交換を行っております。

二国間の経済関係は、日蘭双方の企業関係者や貿易・投資支援機関関係者の皆様の日々のご尽力もあり、強固な関係を維持しています。本年は、日蘭科学技術協力協定署名から25年を迎えます。我々の生活を下支えする、イノベーション分野でも更なる協力関係が進展することを期待しております。新型コロナウイルスが経済面でも大きな影響を与えておりますが、本年も日蘭間の経済活動が円滑に進みますよう、精一杯サポートをさせていただく所存です。
昨年は、新型コロナウイルスの影響により、残念ながら多くの広報文化行事を断念せざるを得ませんでしたが、このような中でも、オンライン上で開催されたEmbassy Festival 2020への参加や、日本紹介動画の当館SNS(当館公式Facebook)への定期的な投稿など、新たな形での文化紹介や情報発信に取り組んできました。また、この夏に開催予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、日本の地方自治体とオランダとの間で、スポーツを中心とした国際交流が一層進められるよう尽力して参ります。

一方、昨年11月、ハーグのサウジアラビア大使館に対する発砲事件が起き、検察がこれをテロの動機によるものとする発表を行いました。また、テロ計画との関連が疑われる者の逮捕も相次ぐなど、引き続きオランダでは厳しいテロ情勢が続いています。さらに、昨年12月にはハーグの中心部において刺傷事件が起きるなど、一般的な治安情勢についても予断を許さない状況にあります。大使館にとって、在留邦人の皆様の安全確保は最優先事項です。皆様が安心して過ごせるよう、オランダ治安当局等との連携・協力関係を更に深めていくとともに、皆様への情報提供をしっかりと行うなど、安全確保のためにできる限りの措置を行っていく所存です。

国際機関との関係では、国際司法裁判所(ICJ)裁判官選挙において、現職の岩澤雄司判事が最多得票で見事に再選を果たされるという非常に明るいニュースがありました。日本は法の支配を外交の柱に掲げており、本年も国際司法分野において積極的に貢献する所存です。

化学兵器禁止機関(OPCW)においては、残念ながら昨年も新たな化学兵器使用事案が発生致しました。このような中においても、化学兵器の禁止・廃絶に向けた討議は継続され日本もこれに積極的に参加してまいりました。引き続き、討議を通じ、化学兵器の禁止及び不拡散のための国際的な取組・軍縮努力に貢献して参ります。

2021年も、日本とオランダを取り巻く様々な動きに目を配り、館員ともども大使館としての責務を果たせるよう努めて参ります。

皆様の今年一年のご多幸とご繁栄をお祈りして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。