堀之内大使2022年新年挨拶
令和4年1月1日
在オランダ日本国大使 堀之内 秀久
皆様、新年明けましておめでとうございます。
オランダに着任し、3度目のお正月を迎えることができました。皆様への新年のご挨拶の機会に際し、昨年を振り返るとともに、今年の抱負を述べたいと思います。
昨年も一昨年と同様に、新型コロナウイルスとの闘いの年になりました。春先までのロックダウンや秋以降の厳しい状況など、依然として大きな影響が出ておりますが、待望のワクチン接種が進み、一筋の光明が見えました。日本では、一年遅れではありましたが、無事に東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、世界中に明るい話題を提供できました。とりわけ、歴代最高の成績を収めた日蘭双方の選手団の活躍は素晴らしいものでした。本年も、新型コロナウイルスとの闘いは続き、当地における生活や仕事、更には日本への渡航に種々の制約を受けることと存じますが、大使館といたしましても、皆様のお力になれるよう、引き続き全力を尽くすとともに、皆様がそういった制約を受けることのない日が1日でも早く訪れるよう、心から願っております。
さて、政治に目を向けますと、下院選挙直前の昨年1月、児童手当の不当な不正取り締まりの責任をとり、内閣は総辞職しましたが、3月の選挙ではルッテ首相率いる自由民主国民党(VVD)が第一党の座を維持しました。連立交渉は紆余曲折が続き、また、体調不良や次の職を得たなどの理由で閣僚が辞任したり、9月には、アフガニスタン情勢への対応を巡る責任をとって、外相、国防相が相次いで辞任したりするなど、政界は、非常に混乱した一年となりました。しかし、戦後最長の期間がかかりましたが、12月、連立合意が成立し、第4次ルッテ内閣が誕生することになりました。
二国間関係では、昨年6月、茂木外務大臣(当時)が、G20外相会合の機会に、カーフ外相(当時)との間で日蘭外相会談を対面で実施しました。茂木大臣からは、400年以上の歴史的関係を有し、基本的価値を共有する戦略的パートナーであるオランダとの関係を一層強化していきたい、オランダ独自の「インド太平洋ガイドライン」の発表等、オランダのインド太平洋への関与強化を心強く思う旨述べ、両大臣は、インド太平洋における連携を強化していくことで一致しました。
経済関係は、新型コロナウイルスの影響で、引き続き大きな制約を受ける中、日蘭双方の経済関係者の皆様の日々のご尽力もあり、強固な関係を維持しています。昨年の夏から秋にかけては、久しぶりに関係者の皆様と対面でお話しをさせていただき、改めて、日本企業の底力と、日蘭経済界の強固な結びつきを実感いたしました。本年も引き続き、日蘭間の経済活動が円滑に進むよう、精一杯サポートをさせていただく所存です。
大使館として進める文化広報行事も、昨年も引き続き大きな制約を受ける中、オンラインでの日本語エッセイビデオコンテストの実施やSNS(当館Facebook)を通じた文化紹介等、新たな形での対外発信を進めております。
一方、昨年中も、テロ計画との関連が疑われる者の逮捕が相次ぎ、新型コロナウイルスに端を発する暴力行為が見受けられるなど、懸念すべき状況がみられます。また、在留邦人の方から、電話詐欺などの一般犯罪についても報告を頂いています。大使館にとって、在留邦人の皆様の安全確保は最優先事項です。皆様が安心して過ごせるよう、引き続き、オランダ治安当局等との連携・協力関係を深めていくとともに、皆様への情報提供をしっかりと行うなど、安全確保のためにできる限りの措置を行っていく所存です。
当地所在国際機関との関係では、国際司法裁判所(ICJ)、国際刑事裁判所(ICC)ともに、裁判所長の交代や新検察官の就任がありました。法の支配を外交の柱に掲げる我が国としては、各機関の新執行部とも連携しつつ、本年も国際司法分野において積極的に貢献する所在です。
化学兵器禁止機関(OPCW)においては、シリアの化学兵器使用事案について、OPCWの使用者調査・特定チーム(IIT)が昨年4月に第二回調査報告書を発出し、化学兵器の禁止・廃絶に向けた討議が活発に行われました。引き続き、化学兵器の禁止及び不拡散のための国際的な取組や努力に貢献して参ります。
2022年も、日本とオランダを取り巻く様々な動きに目を配り、館員ともども大使館としての責務を果たせるよう努めて参ります。
皆様の今年一年のご多幸とご繁栄、そして何よりもご健康をお祈りして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。